マンション売却を決めたら、早めに売却に必要な書類の準備を始めましょう。
書類の不備により売買契約がスムーズに進まないと、買主に不信感を与えてしまい、最悪の場合、売買契約がキャンセルになってしまうこともあるかもしれません。
例えば、ぎりぎりになって書類を揃えてみたら、実は大事な書類を紛失していて再発行に時間がかかってしまった、共有名義のマンションの名義人全員の印鑑証明を揃えるのに時間がかかってしまった、など…。
買主との信頼関係を築き、気持ちよくマンションを引き渡すためには、早め早めの準備が大切なのです。
この記事では、マンションを売却する際に必要な書類と、いつ必要になるのかを、売却の流れに沿ってわかりすく解説します。
マンション売却を決めたら準備する書類
マンションを売却する際には、以下のような書類が必要になります。
これらの書類は、単に手続きに必要であるということのほかに、買主に示すことで、買おうとしているマンションや売主に問題がないか、いわばマンションや売主の素性を明らかにするためのものです。
そのため、契約や決済時に書類に不備があると、買主に不信感を与えてしまうことになり、売買がスムーズに進まなくなってしまうこともあるのです。
買主との信頼関係を築くという意味でも、売却に必要な書類は、マンションの売却を決めたら早めに準備するようにしましょう。
またマンションの売却に必要な書類は、自宅に保管してあるマンション購入時の書類一式と、法務局や区役所で発行してもらうものがあります。
マンションが共有名義の場合、名義人全員の身分証明書や実印、印鑑証明が必要です。
共有名義人が遠方に住んでいる、名義人が複数いる場合などは早めに連絡をとって、準備を始めることが大切です。
- 自宅に保管してある書類
- マンション購入時の契約書類一式
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 登記識別情報(登記済権利証)
- 身分証明書(運転免許証、パスポートなど顔写真つきのもの)
- 実印
- 住宅ローン残高証明書(毎年10月ごろに銀行から送られてくる)または住宅ローン償還表
- 固定資産税納税通知書
- 間取り図
- マンションのパンフレット、付帯設備の取扱説明書
- マンションの管理規約・使用細則
- 銀行口座の通帳(売買代金を口座振り込みで授受する場合に必要)
- 法務局で発行してもらうもの(オンライン申請も可能)
- 登記事項証明書
- 区役所・証明書発行コーナーで発行してもらうもの
- 印鑑証明書
- 固定資産公課証明書
- 住民票(登記上の住所と現住所が異なる場合のみ必要)
登記事項証明書や印鑑証明など、役所で発行してもらう書類は、有効期限はありませんが、「発行から3ヶ月以内のもの」と決まっている場合が多いので注意が必要です。
登記事項証明書と登記識別情報の違い
登記事項証明書と登記識別情報は何が違うのでしょうか。
簡単にいうと、登記事項証明書は、土地や建物の過去や現在の所有者が誰であるかを証明するものです。
つまり、土地や建物などの不動産の登記記録を公的に証明する書類で、法務局で誰でも閲覧、発行してもらうことができます。
登記事項証明書には、建物の所在地や面積などのほか、土地や建物の所有権を誰が登記した、売買によって誰に移転登記された、また、差し押さえの登記がされている、など、その土地や建物の過去の履歴が全て記録されています。
一方、登記識別情報は、一般に「権利証」と言われるもので、数字や符号の組み合わせからなる12桁の符号が記載されており、この番号は不動産および登記名義人ごとに違っていて、登記名義人のみに通知されます。
登記識別情報は非常に重要な情報なので、第三者に盗み見られないよう目隠しシールが貼り付けられた状態で交付されます。
つまり、登記識別情報は、登記名義人つまりマンションの持ち主のみしか知らない情報です。
登記を申請する際には、本人確認のため、登記識別情報の12桁の数字を提供しなければなりません。
マンションの売却にともなってマンションの所有権を移転するのに必要なのは「登記識別情報」で、その所有権を移転できる状態にあるかを確認するために必要なのが「登記事項証明書」ということです。
マンションを売却する際にはたくさんの書類が必要なんですね。
そうなんです。
でも、役所で発行してもらうもの以外は、マンション購入時の書類のなので、たいてい売買契約書と一緒にまとめて置いてあると思いますよ。
大事な書類なので、うちもまとめて置いているから大丈夫だと思うけど…。
でも、もし紛失していたりしたらどうしよう。
マンションの管理規約や使用細則などは、管理会社に問い合わせれば再発行してもらえますよ。
ただ、マンションの「権利証」である登記識別情報は、とても大事なものなので、再発行はできません。
もし紛失した場合は、「登録制度における代替措置」という方法があるようです。
法務局に問い合わせてみてください。
マンション売却の流れと必要書類
ここでは、マンション売却のどの段階でどんな書類が必要になるのか、売却の流れに沿って説明していきます。
1. マンションの売却を決める
売却を決めたら、まずは住宅ローンの残額をチェックします。
残額をチェックするには、住宅ローン残高証明書または住宅ローン償還表が必要です。
住宅ローンの残高は売却価格を決める基準となるので、不動産業者に査定を依頼する前に把握しておきましょう。
2. 不動産業者に査定を依頼
住宅ローンの残債を把握したら、次は不動産業者に査定を依頼し、あなたのマンションがいくらで売れるのかを調べます。
査定には、一括査定サイトが便利です。
3. 不動産業者に売却を依頼(媒介契約締結)
マンションの売買を依頼する不動産業者が決まったら、不動産業者と媒介契約を結びます。
以下のような書類を準備して、あなたが売却するマンションの所有者であることや、マンションが売却できる状態であるかを確認します。
- 身分証明書(運転免許証、パスポートなど顔写真つきのもの)
- 登記事項証明書
- 登記識別情報(登記済権利証)
- 間取り図
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書
4. 買主とマンションの売買契約を結ぶ
売買契約の際は、ほとんどの書類は買主側に見せるだけで、実際に所有権移転登記などの登記手続きを行うのは、決済日です。
また、売買契約の際に使う印鑑は実印でなければならないという決まりはありません。
ですが、印鑑証明を示して実印を使うことで、売主本人であるという証明となるため、買主に安心して取引してもらえることから、不動産業者から実印を持参するように指示されることが多いようです。
- 実印・印鑑証明書
- 住民票(登記上の住所と現住所が異なる場合のみ必要)
- 登記事項証明書
- 登記識別情報(登記済権利証)
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書
- マンションの管理規約・使用細則
- マンションのパンフレット、付帯設備の取扱説明書
- 固定資産税納税通知書・固定資産公課証明書
固定資産税納税通知書とは
固定資産税納税通知書は毎年1月1日時点の物件の所有者のもとに届く書類です。
売買によって所有者が変わった場合は、日割り計算で決済日までの分を売主、決済日以降の分を買主が負担することになります。
売主がすでに1年分支払っていた場合は、払いすぎた分が売主に返金されます。
この日割り計算を行うために必要なのが、固定資産税納税通知書なのです。
固定資産公課証明書とは
固定資産税の計算の根拠となる「固定資産評価証明書」の内容に加えて「課税標準額」と「課税相当額」が記載されたものが「固定資産公課証明書」です。
売主と買主の間で、固定資産税や都市計画税を按分する際に、「固定資産公課証明書」に記載されている「課税標準額」と「課税相当額」に基づいて日割り計算します。
そのため、固定資産評価証明書の内容に加えて「課税標準額」と「課税相当額」が記載されている「固定資産公課証明書」が必要になるのです。
5. 決済
決済では、残代金を受領し、マンションの所有権移転登記を行い、マンションを買主に引き渡します。
このとき、固定資産税やマンションの管理費などを日割り計算して精算します。
また、マンションの所有権を売主から買主に移すための「所有権移転登記」の手続きを法務局に申請するため、決済時には、必ず実印が必要となります。
- 実印・印鑑証明書
- 登記識別情報(登記済権利証)
- 住民票(登記上の住所と現住所が異なる場合のみ必要)
- 固定資産税納税通知書・固定資産公課証明書
- 銀行口座の通帳(売買代金を口座振り込みで授受する場合に必要)
- マンションの管理規約・使用細則
- マンション購入時のパンフレット・付帯設備の取扱説明書
- マンションの鍵
マンション売却に必要な書類チェックリストと申請場所まとめ
売却のための書類の準備というと、何となく面倒そうに思いますが、前もってきちんと準備すればそんなに面倒でも複雑でもないとおわかりいただけたと思います。
大切なのは、売却を決めたら早めに書類を揃えることです。
以下にマンション売却に必要な書類のチェックリスト(PDF版)を添付しますので、ご利用ください。
また、マンション売却時に必要な書類はどこに申請すればもらえるのかもまとめました。
是非参考にしてください。
申請場所 | 発行に必要なもの | 代理人申請 | |
---|---|---|---|
印鑑証明 |
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|
可能 (基本的に委任状は必要ないが自治体による) |
住民票 |
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可能 (委任状必要。ただし、代理人が本人と同一世帯なら必要ない) |
固定資産公課証明書 |
|
|
可能 (委任状必要) |
登記事項証明書 | 法務局、オンライン | 手数料 | 誰でも可能 |
登記事項証明書は、土地や建物の持ち主でなくても、誰でも請求することができます。法務局の窓口でも請求できますが、オンライン請求が便利です。オンライン請求では、手数料は電子納付で納めることができ、登記所で受け取るか、郵送で受け取ることができます。
※参照)法務局
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