マンション売却の売買契約書でチェックするべき12項目とトラブル回避のための注意点

売り出していたマンションに買い手が見つかり、いよいよマンションの売買契約を結びます。

「マンション売却時の売買契約書で、注意するポイントが知りたい」

「売買契約書に書かれている内容が難しくて理解できない」

マンションの売買契約書は専門用語が多く使われていて、一般の人には少し難しく感じるかもしれません。

しかし、読んでも内容がよく理解できないからと不動産業者任せにしてしまうと、後々トラブルになったり、損をしてしまうことに!

この記事ではマンション売却時に交わす売買契約書について、チェックするべき12の項目に加え、売買契約書に明記するべき2つのことをご紹介します。

花沢

2020年の民法改正法が不動産売買契約書に与える影響も解説しているので、中古マンションの売却を考えている方は参考にしてください!

マンション売買契約書はトラブルが起こった際の重要な証拠

マンション売買の契約条件について売り主・買い主が合意したら、売買契約を結びます。

この合意した内容や条件を書面にしたものが「売買契約書」です。

売り主・買い主の双方が署名・捺印することで売買契約書は有効となり、マンションの売買に関して取り決められた事柄は、この契約書に記載されていることが全てと判断されます。

後々、「契約書には書かれていないが口頭で合意した」と言っても、認められません。

つまり、万が一契約後にトラブルが起こった場合、売買契約書は重要な証拠となるのです。

そのため、売買契約を締結する際は、合意した事柄を全て契約書に記載し、書かれている内容を事前にきちんと確認することが大切です。

マンション売買契約書に記載する内容は誰が決めるの?

本来、売買契約は自由なものであり、自己責任で結ぶものであるとされているため、不動産売買契約書の記載内容は当事者間で自由に決めることができます。

しかし、ほとんどの場合、不動産売買契約書は仲介を依頼した不動産業者が準備したものを使います(売り主と買い主で仲介する不動産業者が違う場合は、業者間の話し合いでどちらのものを採用するか決める)。

一般的に使われている不動産売買契約書に記載されている内容は、大まかに言うと以下のような事柄で、どの不動産売買契約書でもほとんど同じです。

  • 宅建業法により記載することが義務付けられている内容
  • トラブルになりがちな事柄に関する取り決め

このうち、「トラブルになりがちな事柄」とは、売り主または買い主のどちらか一方に有利になったり不利になったりすることのないように調整を行った結果、こうするのがよいと取り決められた内容となります。

つまり、不動産業者が用意する不動産売買契約書は、記載しておけば概ねトラブルが回避できるであろうという事柄を網羅したものになっているのです。

そのため、不動産業者が準備した契約書を使うことがほとんどなのですが、契約は本来自由なものなので、当事者間で特別なルールを定めた場合など記載したい内容がある場合は、「特約」として追加することができます。

しかし、自由と言ってももちろんルールがあり、以下のような記載内容は、たとえ特約として契約書に書いてあっても無効とされています。

  • 公の秩序に違反する内容
  • 強行法規に反する記載内容

強行法規と任意法規

ある事柄に関して当事者の意思にかかわらず必ず従わなければならない法律を強行法規、
当事者の意思により従わなくてもよいものを任意法規といいます。

一般に、公の秩序に関する規定は強行法規であり、そうでないものが任意法規とされます。

マンションの売買契約での取り決め事項は基本的に自由なので(強行法規に反しない限り)、契約書の中で民法と異なるルールを定めれば、それに従わなければなりません。

そういった場合、売買契約書には「特約」として記載することがほとんどです。

しかし、万が一契約書に記載のない内容で争いになったときは、民法の規定に従うことになります。

マンション売買契約書に書かれている12項目

一般的にマンションの売買契約書に書かれているのは以下のような事柄です。

  1. 売買物件の表示
  2. 売買代金・手付金等の額、支払日
  3. 所有権の移転と引き渡し
  4. 物件状況の報告・付帯設備の引き継ぎ
  5. 負担の消除
  6. 公租公課の負担
  7. 手付解除
  8. 引き渡し前の物件の滅失・毀損(きそん)(危険負担)
  9. 契約違反による解除
  10. 反社会的勢力の排除
  11. ローン特約
  12. 瑕疵担保責任

このほか、当事者間で取り決め事項がある場合はその項目が特約として追加されます。

事前に買い主との間で合意した内容になっているか、1つ1つ確認しましょう。

ですが売買契約書の内容をきちんと確認しようと思っても、専門用語がたくさん使われていて、一般の人には難しく感じるかもしれません。

そこで、それぞれの項目にはどのような内容が書いてあるのか、どのような点に注意してチェックすべきかをわかりやすく解説します。

1. 売買物件の表示

物件の表示が正しく記載されているかを確認します。

登記記録、重要事項説明書の「物件の概要」と同じ表示になっているかをチェックしましょう。

2. 売買代金、手付金の額、支払い日

売買代金・手付金の額、支払日が事前に買い主と合意した額になっているかを確認します。

手付金の額は、一般的に売買代金の10%程度に設定することが多いようです。

一般的に、売買契約日が手付金の支払い日、決済・引き渡しの日が売却代金から手付金を引いた残代金の支払い日となります。

3. 所有権の移転と引き渡し

所有権移転登記と引き渡しは、売却代金の授受が行われる決済の日に同時に行われるのが一般的です。

事前に買い主と合意した日付になっているか、引っ越しの時期は問題ないかを確認します。

4. 物件状況の報告・付帯設備の引き継ぎ

売り主は、売買契約締結時に売り主が知っている売買物件の状況について物件状況報告書・付帯設備一覧表(別紙)を示して買い主に報告しなければなりません。

物件状況報告書は、雨漏り、シロアリ、給排水管の状況、土壌汚染など、土地・建物に関することが書かれた書類です。

付帯設備一覧表は、売買するマンションの設備にはなにがあって、どのような状態で買い主に引き渡すかを事前に売り主が記入したものです。

付帯設備一覧表には、「水まわり」「居住空間」「玄関・窓・その他」の区分に沿って物件に備え付けられている全ての設備が記載されています。

売り主は、事前に1つ1つの設備の有無や設備がどういう状態かについて記入しておかなければなりません。

故障や不具合などがある場合は、その旨を明記しておく必要があります。

売買契約の際に、設備の状況、残していくものと撤去していくものについて売り主と買い主の間で1つ1つ確認、調整します。

国土交通省の物件状況報告書・付帯設備一覧表を参考にしてください。

5. 負担の消除

売却するマンションに銀行等の抵当権などがついている場合、売り主は買い主への所有権移転のときまでにこのような負担をなくした上でマンションを買い主に引き渡さなければなりません。

この箇所には、「売り主は抵当権などの負担を取り除いてから買い主に引き渡す」ということが書かれています。

一般的に、売却代金支払い時(決済日)に、買い主から受け取った売却代金でローン残債を支払って抵当権抹消登記を行い、所有権移転登記を行います。

6. 公租公課の負担

公租公課(こうそこうか)とは、固定資産税・土地計画税などの税金を指します。

これらの税金のほか、マンションの管理費や修繕積立金などを売り主と買い主で日割り計算により精算します。

引き渡しの日を基準にし、引き渡しの日までを売り主が、引き渡し以降を買い主が負担します。

「何をどのような計算方法で精算するか」がきちんと書かれているかを確認します。

7. 手付解除

手付解除の内容について、買い主と合意した内容になっているかを確認します。

手付解除とは、売り主は受け取った手付金の倍額を買い主に支払うことで、買い主は売り主に支払った手付金を放棄することで、契約を解除することができるというものです。

何らかの問題が発生して契約を解除せざるを得なくなった場合に手付解除をすることがあるかもしれないので、買い主との間で手付解除の内容について取り決めておきます。

取り決める内容は手付解除を認めるか認めないか、手付金の額、手付解除できる期限などです。

手付金の額は、一般的に売買代金の10%程度に設定することが多いようです。

手付金の額が高すぎると、売り主側の事情で手付解除する際には手付金が倍返しとなるため負担が大きく、また手付金が少なすぎると、買い主側が手付解除しやすくなります。

手付金の額を決めるときは、この点に注意しましょう。

8. 引き渡し前の物件の滅失・毀損(きそん)(危険負担)

売買契約締結後、物件の引き渡し前に地震や水害などの天災で建物が全壊するなど、売り主にも買い主にも責任のない理由で売却物件が滅失・毀損した場合にどうするかという取り決めです。

民法では、「引き渡し前の物件の滅失・毀損の負担は買い主にあり、買い主が費用を負担する」としていますが、これは不動産売買の取引実情に合っていないため、不動産売買契約書では、「売り主が負担する」という特約をつけるのが一般的です。

そのため、一般的には、引き渡し前は売り主が「危険負担」を負い、引き渡し後は買い主が負うこととなります。

「危険負担」に関する取り決めで気をつけるべき点とは、いつ何をもって「引き渡し」とするのか、また、「危険負担」の責任がどの時点で買い主に移転するかということをきちんと取り決め、契約書に明記しておくことです。

9. 契約違反による解除

売り主または買い主のどちらかが契約に違反した場合、違反した側が違約金を支払うことにより契約が解除されます。

違約金の額は売買代金の20%ほどで設定されることが多いようです。

10. 反社会的勢力の排除

売買契約書に、「売り主及び買い主が暴力団等の反社会的勢力ではないこと」、「売却物件を反社会的勢力の事務所、その他の活動の拠点にしないこと」が書かれているかを確認します。

もし相手方がこれに違反した場合、もう一方は契約を解除することができます。

11. ローン特約

買い主が住宅ローンを利用して物件を購入する場合、買い主に落ち度がないのにローンの審査に通らなかった場合、買い主は売買契約を無条件で解約できるというものです。

ただし、買い主がローン審査に必要な書類の提出を怠ったなど買い主に責任がある場合は無効となります。

12. 瑕疵担保責任

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは

物件の欠陥のことを「瑕疵(かし)」といい、そのうち「雨漏り」や「シロアリ被害」のような、事前に買い主が知り得なかった「瑕疵」を「隠れた瑕疵」といいます。

売買物件に「隠れた瑕疵」が発覚した場合、売り主は物件の修補や損害を賠償する義務を負いますが、これが瑕疵担保責任です。

物件に重大な瑕疵があった場合に、その瑕疵により契約の目的が達せられない場合は、買い主は無条件で契約を解除することができます。

以上のことは民法に定められていますが、売買契約の際、この瑕疵担保責任を売り主が負うか、負わないか、負う場合はどれくらいの期間負うのかについては、当事者間で自由に取り決めることができます。

しかし、売り主が疵担保責任を負わない、または負う期間が短いと買い主に不利となり、反対に、責任を負う期間が長いと売り主に不利となるため、瑕疵担保責任に関しては当事者間で調整が必要になるでしょう。

また、「瑕疵担保責任免除」という契約をしていても、瑕疵担保責任が免責にならないことがあります。

「瑕疵担保責任免除」で合意していても売り主が免責を認められないケース

お互いの合意により「売り主が瑕疵担保責任を負わない」という取り決めをしたとしても、以下のようなケースは売り主の瑕疵担保責任の免除が認められない場合があります。

  • 売り主が瑕疵の存在を知っていたのに告げなかった場合(民法572条)
  • 後に判明した瑕疵が、当事者の予想できる範囲を明らかに超えるような重大な瑕疵で、当事者の合意の範囲を超えるものである場合

瑕疵担保責任を巡るトラブルは非常に多いので、事前にきちんと取り決めておくことが大切です。

売買契約書の瑕疵担保責任の記載内容が、売り主が瑕疵担保責任を負うか、負わないか、負う場合はどのくらいの期間なのかなど、買い主と合意した内容と相違ないかを確認します。

トラブル回避のための注意点!売買契約書に明記すべきこと2つ

はじめに言いましたが、売買契約書は、トラブルが起こったときに最初に確認すべきもので、もっとも重要な証拠となります。

ということは、何か問題が発生しても、そのことが売買契約書に明記してあれば、トラブルに発展しなくて済むということなのです。

ここでは、トラブルを避けるためにマンションの売買契約に明記しておきたいことを2つ紹介します。

1. 手付解除が可能な期間を明記する

不動産売買で多いトラブルの一つに、手付解除に関することがあります。

一般的に手付金には、以下の3つの種類があります。

  • 証約手付

    契約締結を証明することが目的で授受される手付。

  • 解約手付

    売り主は手付金の倍額を買い主に支払うことで契約解除できる。
    買い主は手付金を放棄することで契約解除できる。

  • 違約手付

    当事者に契約違反があった場合に、損害賠償とは別に違約の「罰」として没収することができる手付。

不動産売買での手付金は、一般的に証約手付・解約手付の意味を持ち、売買代金の10%ほどの額が支払われることが多いようです。

手付解除ができる期限は、一般的な契約では「相手方が履行に着手するまで」とされています。

つまり、相手方が契約に定められた約束事をすでに実行している場合は、手付解除はできません。

しかし、「相手方が履行に着手するまで」という表現の解釈の違いから、手付解除をめぐって「相手方が履行に着手していると言えるかどうか」で争う事例が多発しています。

また判例でも、「相手方が履行に着手していたかどうか」について判断が分かれており、手付解除をめぐってトラブルになるととても面倒なことになりかねません。

こういったトラブルを避けるために、手付解除ができる期間は「契約日から◯日以内」など具体的に取り決め、契約書に明記しておくようにしましょう。

2. トラブル多発の瑕疵担保責任!問題箇所は物件状況報告書に全て明記

売買契約の際に、売り主と買い主の間で合意するためにお互い譲歩が必要になるのが、瑕疵担保責任に関する取り決めでしょう。

売り主としては、瑕疵担保責任はできれば免除してもらいたいですし、負うとしてもできるだけ短期間にしたいのが本音です。

しかし反対に買い主からすると、できるだけ長い期間売り主に瑕疵担保責任を負ってもららいたいと考えるでしょう。

お互いが納得して合意できる形で折り合いをつけなければならないので、瑕疵担保責任はとても難しい取り決めです。

そこで、お互いが気持ちよく合意するために売り主が心がけることは、物件状況報告書などを用いて、わかっている限り全ての物件の状況・状態について正直に詳細に買い主に伝えることです。

また、住宅診断士などの専門家に依頼してマンションの状態を明らかにし、買い主に書類を提示することも、買い主に安心感を与え未然にトラブルを防ぐ有効な手段になるでしょう。

住宅診断士に依頼するとそれなりに費用はかかりますが、後々トラブルになって修繕費用を支払わなければならなくなったり、最悪の場合裁判になったりすることを考えれば、どちらがよいかは一目瞭然です。

2020年民法改正により瑕疵担保責任が「契約不適合責任」に変わる

2017年、120年ぶりに民法が改正され、2020年に新民法が施行される予定です。

不動産売買に関係することでは「瑕疵担保責任」に関する内容が改正されます。

「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に名称が変わり、売り主に責任を追及する買い主の権利が明示されたり、買い主が知っていても知らなくても契約に合わない瑕疵が対象になるなど、買い主保護の改正内容になっています。

現民法「瑕疵担保責任」
売買契約時に買い主が知り得なかった「隠れた(わからなかった)瑕疵」が対象。
新民法「契約不適合責任」
事前に買い主が知っていたか知らなかったかにかかわらず、契約内容に適合しているかどうかが問題となる。
つまり買い主が知っていた瑕疵も売り主の責任対象になる可能性がある。
以下のような買い主の権利が明示され、売り主に責任を問う買い主の対応が明確になる(買い主の落ち度によるものではない場合)。

  • 追完請求権
    契約内容と適合するよう交換したり修理したりを売り主に求めることができる。
  • 代金減額請求権
    追完請求への対応がなされない場合、代金の減額請求ができる。
  • 損害賠償請求権
    追完請求や代金減額請求への対応がなされない場合損害賠償を請求できる。
  • 契約の解除も可能

民法改正後のマンション売買契約書に売り主はどう対応すべきか?

民法の改正にともない、引き渡し後に物件に瑕疵が見つかった場合売り主に責任追及できるという買い主の権利についての条項が不動産売買契約書にも明示されることが予想されます。

新民法では契約内容に適合しているかどうかが問題になるため、売り主はわかっている瑕疵を全て買い主に伝え、できる限り契約内容に適合するようにすることが大切です。

問題のある箇所は全て物件状況説明書に記載の上買い主に報告し、その箇所については責任を負わない旨を契約書に明記しましょう。

このとき、住宅診断士などに依頼して物件の状態をチェックしてもらい報告書を添付すれば、より安心です。

マンション売買契約書は事前に隅々までチェックすることが大事

マンションの売買契約書は、売却時のトラブルを避けるための重要な書類です。

詳しい内容を把握しないまま契約してしまうと、後悔してしまうかもしれませんよ。

マンション売却を成功させるためには、事前に売買契約書を自分で確認し、全てクリアにした上で売買契約に臨むことが大切です。

花沢

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