「マンションの売買契約後、決済までにするべきことは何?」
「売買契約後、売り主が気をつけることは?」
マンションの売買契約後、決済・引き渡しの日までに売り主がやっておかなければならない手続きや準備しておくべきものがあります。
これらの手続きや準備を忘れると、予定の日に決済・引き渡しができなくなるという事態に!
そうすると、債務不履行で契約違反となり違約金を支払わなければならないということになってしまうかもしれません。
マンションの売買契約が終わったら、すぐに決済へ向けて準備にとりかかりましょう。
この記事では、マンションの売買契約後、決済までの間に売り主がやっておくべき手続きや準備、契約解除の可能性についてご紹介しています。
マンションの売買契約締結後から決済までに売り主がやるべきこと6つ
マンションの売買契約締結後、決済・引き渡しの日までは通常1ヶ月後くらいの間が空きます。
これは、買い主側の住宅ローンの本審査に1ヶ月ほど時間がかかるためです。
通常、買い主は住宅ローンの事前審査に通った段階で売り主と売買契約を結び、売買契約締結後に、売買契約書を添えて正式に銀行へ住宅ローンの申し込みをします。
それから銀行が本審査を行い、買い主に問題がなければ住宅ローンが承認され、マンション売買の決済・引き渡しが行われるという流れになります。
ですが決済までの間、売り主はただ買い主の住宅ローン承認が下りるのを待っていればいいというわけではありません。
決済・引き渡しへ向けて売り主側がやるべきことは以下の6つです。
- 住宅ローンを借りている銀行へ連絡
- 司法書士へ決済日の手続きを依頼
- 決済に必要な書類の準備
- 決済に必要なお金の準備
- マンションの管理組合へ連絡
- マンションの最終確認
1. 住宅ローンを借りている銀行へ連絡する
決済日が決まったら、自分が住宅ローンを借りている銀行へ連絡し、抵当権抹消手続きを行うための書類を準備してもらうよう依頼します。
書類の準備には2、3週間はかかるため、決済の直前に連絡してもすぐに準備してもらえません。
そのため、決済日までにきちんと書類が揃うように、決済の日にちが決まったらできるだけ早く銀行に連絡するようにしましょう。
もし書類の準備が決済の日に間に合わず抵当権抹消の手続きができないと、契約どおりマンションを買い主に引き渡すことができません。
そうなると、売り主の契約違反となり、違約金を支払わなければならないということにもなるのです。
決済の日にちが決まったら、忘れずに銀行へ連絡するようにしましょう。
このとき、住宅ローンを一括返済する際にかかる繰上返済手数料の額も確認しておきます。
抵当権抹消登記とは
住宅ローンを組むとき、銀行は借り主が購入しようとしているマイホームを担保としてお金を貸します。
もし借り主からの返済が滞った場合、銀行はそのマイホームを強制的に競売にかけ、貸したお金を回収します。
この権利が抵当権です。
つまり借り主が住宅ローンを完済すれば、マイホームに設定された抵当権を外すことができるのです。
この、抵当権を外す手続きのことを抵当権抹消登記と言います。
2. 司法書士へ決済日の手続きを依頼する
決済の日には、「抵当権抹消登記」と「所有権移転登記」の手続きを行います。
これらの手続きは、金融機関とのやりとりや専門的な知識が必要になるため、司法書士に依頼することがほとんどです。
司法書士は決済の日に同席し、さまざまな手続きはもちろん、抵当権抹消登記のための書類を銀行へ取りに行ったり、登記申請のために法務局へ出向いたりしてくれます。
どの司法書士に依頼してよいかわからない場合は、不動産会社に相談すると、顔馴染みの司法書士を紹介してくれるでしょう。
3. 決済に必要な書類を準備する
決済時に必要なものは以下のとおりです。
- 実印、印鑑証明書
- 登記識別情報(登記済権利証)
- 住民票(登記上の住所と現住所が異なる場合のみ必要)
- 固定資産税納税通知書・固定資産公課証明書(売り主と買い主で固定資産税を按分する際の日割り計算に必要)
- 銀行口座の通帳(売買代金を口座振込で授受する場合)
- マンションの管理規約・使用細則
- マンション購入時のパンフレット・付帯設備の取扱説明書
- マンションの鍵
売買契約の時点で準備しているものがほとんどかもしれませんが、もう一度チェックしておきましょう。
4. 決済に必要なお金を準備する
決済時に必要になるお金は、仲介手数料の半金、登録免許税、住宅ローン繰上返済手数料です。
仲介手数料の半金
仲介手数料は売買契約時に半金、決済時に半金支払うのが一般的です。
売買契約時に支払った分を引いた残金を、仲介を依頼した不動産業者に支払います。
仲介手数料についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
登録免許税(3,000円)
登録免許税とは、決済時に行う以下の登記手続きにかかる税金です。
- 抵当権抹消登記
売却するマンションを住宅ローンを利用して購入している場合、借入時に土地・建物に抵当権が設定されます。
売却代金で住宅ローンの残債を一括返済し、抵当権を外す手続きが抵当権抹消登記です。
この手続きに、登録免許税として、土地・建物にそれぞれ1,000円ずつ、2,000円かかります。 - 住所変更登記
マンション売却後に新しい住居に住み替える場合、登記簿上の記録を変更するための住所変更登記が必要になります。
この手続に登録免許税として1,000円かかります。
司法書士費用(1万円~3万円)
金融機関とのやりとりや抵当権抹消登記、所有権移転登記などを依頼する際の、司法書士への報酬です。
地域や司法書士によって違いますが、一般的に1万円から3万円ほどかかり、事情により手続が複雑になった場合は報酬が増えることもあります。
司法書士費用がいくらかかるか心配な方は、事前に見積を出してもらうといいでしょう。
住宅ローン繰上返済手数料
マンションの住宅ローン残債を売却代金で銀行に一括返済する場合、繰上返済手数料がかかります。
店頭での手続きだと5,000円から3万円程度、インターネットバンキングなどWebで手続きができる銀行では、繰上返済手数料がかからないところもあれば、5万円程度かかるところもあるなど、繰上返済手数料の額は銀行によって違います。
抵当権抹消手続きに関する書類の準備を銀行へ依頼する際に、繰上返済手数料の額も確認しておくようにしましょう。
5. マンションの管理組合へ連絡する
ほとんどの分譲マンションでは、区分所有者は皆マンションの管理組合の組合員になることが管理規約などで義務付けられています。
そのため、マンションを売却する際は、マンションの管理組合員の「資格喪失届」を提出しなければなりません。
資格喪失届の宛名はマンションの「管理組合理事」となりますが、窓口は、マンションの管理会社となることがほとんどなので、管理会社へ「資格喪失届」を提出します。
提出する時期は、決済・引き渡し後です。(売買契約後では、契約が解除になる可能性もあるため)
その後買い主が「所有者変更届」を提出して新たな組合員となります。
もし売り主が「資格喪失届」を出し忘れると、マンションの引き渡し後も管理費や修繕積立金が売り主の口座から引き落とされ続けることになり、後に払い戻してもらう手続きなど面倒なことになるので、忘れずに提出するようにしましょう。
引き渡し後にスムーズな手続きができるよう、売買契約が終わったら、管理組合に連絡して「資格喪失届」を受け取っておくとよいですね。
6. 売却するマンションの最終確認
決済日を迎える前に、引き渡すマンションの部屋が契約のとおりになっているか、最終確認しなければなりません。
付帯設備の有無や状況、撤去するものと置いていくものが付帯設備一覧表と違っていないかチェックしておきます。
掃除をするなどマンションの状態を整え、買い主が気持ちよく新生活に入れるようにする気配りも大切です。
銀行への連絡から、家の最終確認まで6つのことが決済日までにできていれば、スムーズに家を引き渡すことができます。
マンション売買契約締結後の契約解除に備える
マンションの売買契約締結後、何らかの事情で、「こちらから契約を解除したい」、または「買い主が契約解除を申し出てきた」ということもあるかもしれません。
契約解除の方法にはいくつかありますが、どちらかの契約違反がなければ、一般的に手付解除による契約解除となります(ただし、手付解除ができる期間内)。
もし買い主側に住宅ローンの承認が下りなかった場合は、ローン特約による解除となり、契約は全て白紙に戻ります。
マンション売買契約後の契約解除については以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。
マンション売却の売買契約をキャンセルする方法と違約金について
マンションの売買契約が終わったら、このような契約解除に備えて、手付解除の期限と買い主の住宅ローン融資承認取得日を確認しておきましょう。
手付解除の期限を確認する
不動産の売買契約では、売買契約時に買い主が手付金を支払いますが、一般的にこれは解約手付の意味をもっています。
そのため、契約後に買い主側から契約解除を申し出るときは手付金を放棄することによって、また、売り主側から契約解除を申し出るときは手付金を倍返しすることによって、売買契約を白紙に戻すことができるのです。
これを手付解除と言います。
契約書には、この手付解除ができる期限が明記してありますので、日付をきちんと確認しておくようにしましょう。
この手付解除ができる期限までは買い主側から契約解除される可能性があるという心づもりで、引っ越しなどのスケジュールを急ぎすぎないように注意が必要です。
ちなみに手付解除ができる期限を過ぎてからの契約解除は契約違反による解除となり、違約金が発生します。
買い主の住宅ローン融資承認取得期日を確認する
住宅ローンの融資承認取得期日とは、買い主がいつまでに銀行から住宅ローン融資の承認を得るかという期限のことです。
買い主が住宅ローンを利用してマンションを購入する場合、住宅ローンの事前審査に通った時点で売買契約を締結します。
つまり、本審査に通っていない段階で売買契約を結ぶのです。
本審査は売買契約締結後に行われ、審査には通常2、3週間かかります。
仮に本審査で住宅ローン融資が承認されず、買い主が家を買えなくなった場合に、「契約違反」とみなされて違約金を払わなければならないとしたら、家を買うのに大きなリスクを背負うことになりますよね。
そうなると、住宅の購入意欲をそいでしまうことにもなりかねません。
そういったことを防ぐため、不動産の売買契約では住宅ローン特約をつけることが一般的です。
住宅ローン特約とは、本審査で住宅ローン融資が承認されなかった場合買い主は何のペナルティも負うことなく契約を白紙に戻すことができるというものです。
同じような特約に、買い主が別の不動産を売却したお金で物件を買おうとしている場合にその別の不動産が売れなければ契約を白紙にできるという買い換え特約があります。
このような特約により契約が白紙になってしまった場合、早まって新居の契約をしていたり引っ越しの準備を進めていると、売り主は大きな損害を被ることになります。
そのため、売り主は買い主の住宅ローンの融資承認取得期日を確認し、その期日までは契約が白紙になる可能性があることを念頭に置いて準備を進めるようにしましょう。
マンション売買契約が終わったらすぐに決済の準備を
マンションの売買契約が終わると、ほっとして気がゆるんでしまいそうですが…まだ大事な準備があるんですね。
そうなんです。特に銀行への連絡は忘れてはいけません!
銀行への連絡、うっかり忘れるところでした。
だめですよ!決済・引き渡しが終わってやっと売買契約が終わると思ってくださいね。
マンションの売買契約締結後、決済・引き渡しの日までに売り主がやっておくべきことや準備するものをご紹介しました。
せっかくマンションの売買契約が成立したのに、最後の最後で書類の不備があり決済ができず契約違反になってしまったということのないよう、決済までは気を引き締めていきましょう。
またこちらの準備に抜かりがなくても、買い主の都合により契約が白紙、または解除にな可能性もあるということも念頭に置いておきましょう。
決済までは欠けることなく、かといって早まりすぎない、ポイントを押さえた準備が必要なのです。
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