「マンション購入から10年ほどだけど、築年数は40年を超えるから売れるかどうか心配……。」
「築50年のマンションを相続したけど手放したい。売れるのかな?」
「築50年の売れないマンションをなんとか売りたい!」
このように築年数が50年もするような、売れないマンションをなんとか売却する方法はないかと、答えを探し求めている方も多いかと思います。
正直にいうと築浅のマンションに比べると高くは売れませんが、築50年のマンションでも売却する方法はあります!
ただし築浅マンションと同じような感覚で売却をしても、なかなか売れないでしょう。
築年数が経ったマンションを売却する方法は、買主に安心して購入してもらえるようにマンションをお手入れすることです。
まずはマンションの状態や管理などを今一度見なおしてみましょう。
今回は、築50年でも売れるマンションの特徴と、マンションが売れないときにする対策について紹介していきます。
この記事を読んで、マンションの売買価格をなるべく下げずに売れるようにしましょう!
築40年や築50年のマンションを売却したらいくらで売れるの?
築年数が40年や50年を超えるマンションだと、築浅のマンションに比べて60~70%ほど価格が下がります。
たとえば築3年のマンション価格が7000万円だったとき、築40年以上経つと2800万円~2100万円まで価格が下がるということです。
実際に売りに出されているマンション価格を、築年数ごとに調べてみました。
築3年のマンション価格を基準値とし、「東京」「横浜」「大阪」「福岡」各地で築古マンションを売却したときの価格増減率はこちらです。
~築3年 | ~築10年 | ~築20年 | ~築30年 | ~築40年 | 築45年~ | |
---|---|---|---|---|---|---|
東京 | 0% | -24% | -30% | -32% | -60% | -59% |
横浜 | 0% | -23% | -39% | -61% | -64% | -72% |
大阪 | 0% | -20% | -27% | -47% | -53% | -65% |
福岡 | 0% | -19% | -36% | -61% | -65% | -76% |
表にあるように、築40年でおよそ60%、築50年で最大76%ほどマンションの売買価格が下がります。
もちろん築50年のマンションでも、立地や間取りなどによって価格は大きく変わるので、価格がいくらになるか気になる方は、マンションを売却する前に査定をしてみてください。
築年数のあるマンションはどうしても価格が下がってしまいますが、価格を下げずにマンションが売れるよう、売れるマンションの特徴を抑えておきましょう。
築40年や築50年でも売れるマンションの特徴3つ
築年数が古いマンションでも、買主に求められるような物件であれば、査定額よりも高い価格で売却できます。
実際に築80年以上のマンションで、相場より1千万以上高い価格でマンションを売りに出しているところもあるくらいです。
築50年以上でも売却できるマンションの特徴は3つあります。
- マンションがキレイにリノベーションされている
- マンションの立地や間取りがいい
- マンションの管理が行き届いている
1. マンションがキレイにリノベーションされている
築50年とは思えないほど、室内をリノベーションすると、本来のマンション価格よりも高い価格で売却できるでしょう。
床や壁などをキレイにしておくことはもちろん、キッチンやお風呂場などの水回りをキレイに改装するとマンションも高く売却しやすいようです。
実際にリノベーションされた中古マンションは、築年数の相場価格より1.5倍の価格で売買取引がされているようなので、売却する前にお手入れしてみるといいかもしれません。
ただしリノベーションやリフォームには、高額な費用がかかります。
リノベーションにかかる費用
リノベーション 部屋の間取りや内装を大きく変える改装 |
500~1000万円 |
---|---|
リフォーム 床暖房や防音など部屋の機能を追加する改装 |
50~300万円 |
改装内容や改装を依頼する業者によっても、かかる費用はかわりますが、少しでも高く売りたいのであれば300万円ほどかけて室内をキレイにした方がいいかもしれません。
またリノベーションする際にはいくつかの注意点もあります。
築年数の古いマンションをリノベーションするときの注意点
- 築古のマンションは費用が高くなる
- 仮住まいに引っ越さなければならない
- マンションの構造によってはリノベーションできない
築年数の経ったマンションは費用が高くなることが多いです。
マンションが古ければ、当然配管や壁なども古くなっているため、修繕箇所が増えて改装費用が想定額より高くなる可能性が高いでしょう。
またリノベーションするなら、仮住まいに引っ越すことも視野に入れておいてください。
リノベーションの規模にもよりますが、改装が完了するのにおよそ半日から3ヶ月ほどかかるので、改装中に住み続けるのが難しければ引っ越しが必要です。
築年数が古いマンションによくあることなのですが、構造によってマンションの改装ができないことがあります。
マンションのリノベーションをする際には、必ず業者に見てもらって改装ができるか、改装にはいくら掛かるのかを見積もってもらいましょう。
2. マンションの立地や間取りがいい
どれだけ築年数が経っているマンションでも、買主に需要のある立地や間取りであれば、マンションは高い価格で売れます。
中古マンションの購入者には、新婚夫婦や子供を含む3人家族などファミリー層が多いため、とくにファミリー層に向けた条件が揃っているマンションだと需要も高まるでしょう。
売却したい中古マンションに、高く売るための条件が揃っているかどうか確認してみてください。
- 3LDK(75㎡~90㎡)
- 南向き
- 2階以上
- 駅から徒歩8分以内
- バルコニーが広い
- バルコニーがL字型
- スーパーやコンビニなどの日用品を購入できる店が近くにある
- 近くに公園や学校がある
中古マンションの購入後にリノベーションする買主もいるため、室内の細かな間取りについてはあまり気にする必要はないかもしれません。
ですがマンションの「専有面積」「方角」「階数」「立地」などの点は、買主の購入基準に大きくかかわるので、必ずチェックしておいてください。
ちなみに「3LDK(75㎡以上)」「南向き」「2階以上」「駅から8分以内」の条件4つを満たした築50年以上の中古マンションであれば、相場の1.5倍で売却できることもあるようです。
3. マンションの管理が行き届いている
マンションの住居スペースだけではなく、マンション全体の管理が行き届いているかを気にする買主は多いです。
マンションの室内はキレイにリノベーションされていても、外観は中古マンション独特の暗い雰囲気が漂っていたり、古くなったゴミ捨て場が汚かったりすると、買主は遠ざかります。
築年数のある中古マンションでも、古く見えないように手入れがされているか、今一度確認してみてください。
マンションの管理について少し疑問がある場合は、管理会社に問い合わせてみるといいでしょう。
築50年以上の売れない中古マンションを売る3つの方法
残念ながら築年数のあるマンションが、必ずしも相場より高い価格で売却できるわけではありません。
それどころか価格を低めに設定しても、なかなか売れないこともあります。
マンションが売れないときは、次の3つを検討してみるようにしましょう。
- 不動産会社にマンションの買取をしてもらう
- マンションの売り出し価格を下げる
- マンションを賃貸にする
1. 不動産会社にマンションの買取をしてもらう
買主を探してマンションを売るのではなく、不動産会社にマンションを買取ってもらう方法もあります。
なかなか売れないマンションを長期間にわたって売りに出すより、不動産会社に買取ってもらった方が早くマンションを手放せるでしょう。
ただし不動産会社の買取は、買主にマンションを売却するよりも低い価格で買取られてしまいます。
不動産会社によって異なりますが買取価格の相場は、売買相場価格の60~70%まで価格が下がるようです。
つまり不動産会社で依頼した査定額の結果が3000万円だった場合、買取額は900~1200万円で買い取られます。
かなり安い価格で取引されてしまうので、すぐに買取をしてもらうのではなく、売却活動を行ってもなかなか売れないときに、買取ってもらうといいかもしれません。
2. マンションの売り出し価格を下げる
マンションの売出価格を下げなければならない理由は2つあります。
- マンションが売れる条件が揃っていない
- 買主が住宅ローンを組めない
マンションをどれだけキレイにリノベーションをしても立地が悪い、地域的にマンションの需要が少ないなどの条件が重なると、マンションはまったく売れません。
築年数だけでなく、立地や間取りが悪く売却するのは難しいと感じたら、利益のことは考えずに売り出し価格を下げて、マンションを手放すことだけに集中した方がいいでしょう。
なので室内のリノベーションやリフォームはせず、自分で好きなようにリノベーションしたい買主を探して、マンションを売りに出してください。
売買価格を下げていった結果、不動産会社の買取額を下回るようであれば、不動産会社に買取ってもらいましょう。
そして2つ目の理由は、価格が高いと買主が購入できないからです。
このあとにも紹介しますが、築年数が40年や50年経ったマンションは住宅ローンが組めないことがあります。
どうしてもマンションを売り払いたいのであれば、買主が住宅ローンを組まなくても購入できるマンション価格で売却することも検討しておいてください。
3. マンションを賃貸にする
マンションをムリに売却しなくても、賃貸にすることもできます。
賃貸の場合は築年数に関わらず、似たような条件の他物件と同じ価格に設定しても、借主が見つかるようです。
実際に築100年以上のマンションが、築10年以内の物件と変わらない価格で賃貸に出されています。
築40年~築50年以上の3LDKマンションの賃貸相場
東京 | 横浜 | 大阪 |
---|---|---|
30.1万円 | 15.3万円 | 12.7万円 |
賃貸にすると管理が大変ですが、少しでも手元に残る利益を増やしていくのであれば、賃貸にするのもいいかもしれません。
ですがマンションの売買契約上の規約によっては賃貸にできないこともあるので、賃貸にする際には、必ず管理会社に問い合わせるようにしましょう。
築50年以上のマンションを購入する買主のためにできること
築浅のマンションに比べて安いですから、築年数が古いマンションに興味をもつ買主は多いです。
ですが築40年や築50年も経っているとなると不安な点が多く、買主が購入をためらってしまうこともあります。
古いマンションを購入するときに買主が心配すること
- 中古マンションは耐震基準を満たしているのか?
- マンションの配管が古くなっていないか?
- リノベーションができるマンション構造になっているか?
- 古いマンションでも住宅ローンを組めるのか?
以上4つの不安に対する解決方法を、これから紹介していきます。
マンションを売りに出す前に、あなたのマンションを購入する買主のために、できるかぎりのことをしておきましょう。
1. 耐震性が不安な中古マンションはインスペクションを受ける
近年各地で地震が多発していることから、中古マンションの耐震基準を気にしている買主は多いです。
とくに築40年や築50年も経ったマンションは、(※)旧耐震基準で建てられているため、マンションの耐久性を不安に思われるでしょう。
※1981年(昭和56年)に耐震基準が旧耐震基準から新耐震基準に改正されている。
今の古いマンションが新耐震基準を満たすためには、マンションに住む住民3/4の同意を得て、莫大な費用をかけて改修工事を行わなければならないので、あなた一人の力ではどうにもできません。
ですがマンションの状態を診断するインスペクションなら、あなたでもできます!
インスペクションとは?
住宅診断士や一級建築士などの専門家が、マンションの劣化状況や欠陥の有無、修繕が必要な箇所や時期などの診断を行うこと。
耐震基準は変えられませんが、マンション室内の診断を行うことで耐久性や劣化状況に問題がないことがわかれば、買主も安心してくれるでしょう。
インスペクションにかかる費用は3万~8万円ほどなので、マンション売却にかかる費用としては比較的ハードルが低い価格で診断できます。
インスペクションで診断できる内容
- 床やマンションの傾き
- マンションの耐久に関わる損傷
- 配管の劣化
- 腐食や変形の有無
- 雨漏り
- 施工不良
インスペクション後に修繕箇所が発覚した場合は、マンションを売る前に必ず直しておいてください。
2. マンションの配管など寿命があるものは修繕する
築年数の古いマンションは、室内をキレイに保っていても目には見えないところで劣化が進んでいます。
とくに配管は、時の経過とともに劣化しやすいので、自分でも知らないうちに水が漏れていることもあります。
配管が古くなっていないか、一度専門の業者に診てもらい、必要であれば修繕しておくといいでしょう。
配管寿命の目安
水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管 (屋内外の水道管) |
20~30年 |
---|---|
水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管 (屋内外の水道管) |
40年 |
水道用耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管 (お湯の出る水道管) |
20~30年 |
排水用ノンタールエポキシ塗装鋼管 (トイレなどの排水管) |
20~25年 |
(台所やお風呂などの排水管) | 20~30年 |
水配管用亜鉛めっき鋼管 (旧水道管) |
15~20年 |
配管用炭素鋼鋼管 (ガス管) |
10~15年 |
※これら以外にも配管の種類があります。
修繕が必要な配管が見つかれば、一度管理会社に相談して改修してもらうようにしてください。
配管の点検を行わず、マンションの売却後に修繕箇所が見つかった場合は、買主から賠償請求をされる可能性もあるので気をつけましょう。(契約不適合責任)
3. マンションの構造上リノベーションが可能か調べる
あえて中古マンションを購入して、自分でリノベーションを行う買主もいます。
ですがマンションを購入しても構造によっては、買主の希望通りのリノベーションが行えないこともあります。
なのでリノベーションを検討している買主のために、マンション構造を調べておきましょう。
リノベーションに大きく関わるのは「建物構造」と「水回りの床下構造」の2種類です。
- ラーメン構造
-
梁と柱のみでマンションを支えている構造。
中高層の鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションでよく使われている。
壁を壊して自由に間取りを作れるため、リノベーションの幅が広がる。 - 壁式構造
- 壁で建物を支えている構造。
低層のマンションで使われることがある。
壁の移動ができないため、間取りを変えるような大規模なリノベーションができない。
- 床スラブ上配管
- 床スラブと床の間にある空間に配管があるタイプ。
新築マンションでは一般的な配管。
所有者の敷地面積内で配管の移動ができるため、風呂場などの水回りの場所を変えられる。 - 床スラブ貫通
- 床スラブと床が一体となっており、配管が下階の天井上を通っているタイプ。
築年数が古いマンションに多いタイプの配管。
所有者の敷地面積を超えたところに配管があるため、配管を移動できず、水回りを移動させるようなリノベーションができない。
マンションの構造を自分で調べることもできますが、インスペクションをするのであれば、診断の際に業者に聞いた方が確実にわかります。
4. 住宅ローンを組まずに買えるマンション価格に設定する
買主のほとんどは、住宅ローンを利用してマンションを購入します。
ですが築40年以上も経った古いマンションを購入するのに、住宅ローンを組むのは難しいため、購入を諦める買主も多いようです。
築年数の古いマンションを購入するのに住宅ローンを組めない理由は、2つあります。
- マンションが担保評価額に見合わないため
- 住宅ローンの返済期間が短いため
住宅ローンは、マンションを担保としてお金を借りる仕組みとなっているため、マンションの不動産価値に見合った金額しか借入できません。
築年数が25年を超えるとマンションの評価はほぼなくなり、住宅ローンを組むのは難しくなるようです。
築40年や築50年以上経つ中古マンションなら、なおさらお金を貸す金融機関はないでしょう。
もし住宅ローンを組めたとしても、返済期間が短くなります。
ローンの返済期間は、マンションの(※)法定耐用年数47年からマンションの築年数を差し引いた期間が設定されます。
※国が定めた建物の価値が保たれる年数。建物に住める年数ではない。
つまり築年数が40年だった場合、ローンの返済期間は7年と設定されるということです。
借入額にもよりますが、マンションを購入するだけの借入額を7年間で返済するのは難しいでしょう。
これらの理由から住宅ローンが組めず、買主は中古マンションの購入を断念します。
もし確実にマンションを売却するのであれば、買主が住宅ローンを組まなくても購入できる金額まで、値下げを行うことも視野に入れておくといいかもしれません。
【まとめ】築50年のマンションを売るなら不動産会社選びが重要!
ここまで記事を読んでみて、あなたのマンションは売却できそうでしょうか?
もし売却できそうであれば、少しでも高くマンションが売ってくれる不動産会社を選んでみましょう!
じつはマンション売却で重要なのは、不動産会社選びです。
不動産会社選びに失敗してしまうと、築年数の古いマンションに限らず、マンション売却に失敗する可能性があります。
まずは複数の不動産会社へ査定を依頼して、築50年のマンションでも売却してくれる不動産会社を探してみてください。
あなたのマンション売却が成功しますように!
不動産を売却するにあたって必ずチェックしたい一括査定サービス
今は、一社ずつ不動産会社を自分で探して比較するといった面倒なことをする必要もありません。
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